自分と、大切な人の身体を食べ物でいたわる。
オーナーの大塚三紀子氏が、2002年に創業。玄米カフェ「実身美(サンミ」は、『「実」があって、「身」体によくて、「美」しい』をコンセプトに、お母さんが家族を想って作るような、心と身体に温かい健康的な食事やスイーツを提供するお店です。
ビタミン、ミネラルが豊富な玄米を中心に、酵素や食物繊維などの栄養をしっかりチャージできる、栄養バランスや季節感を大切にしたメニューの数々は、「健康でありたい」と願う多くのファンに強く支持されています。
当社がパッケージの企画・制作を通じて出会った素敵な方々に、商品の開発や提供を行いながら社会貢献に携わるなど、未来につながる活動内容やとっておきのエピソードを伺い、ご紹介する「未来を拓くプロダクトストーリー」。今回ご登場いただくのは、玄米を中心とした自然食レストラン「実身美」。忙しさやストレスに追われ、つい食事が疎かになりがちな現代人の身体を食べ物でいたわりたい。そんなオーナーの熱い想いに共感し、ともにお店を創り上げてこられた専務・清水雪薫さんと、メニュー開発などにも関わる製造部・篠原由美さんにお話を伺いました。
左:実身美 専務 清水雪薫さん右:実身美 製造部責任者 篠原由美さん食べることは、生きること。「実身美」のブランドストーリー。
―「実身美」誕生の背景と理念を、教えてください。
清水:オーナーの大塚がOLとして働いていた頃、とてもハードな毎日を送っていました。仕事が忙しくて絶えず時間に追われ、落ち着いて食事もできない。昼は、コンビニでサラダとおにぎりを買って終わり。晩に自炊したくても、帰宅する頃にはスーパーマーケットは閉まってしまう。ちゃんと食べたくても食べられる環境になく、そのうち身体を壊してしまった。頑張りたい女性が頑張れない環境に疑問を感じて、「本当に体にいい食事を、OLのお財布に優しい値段で気軽に食べられるお店を作りたい」と考え、誕生したのが「実身美」です。
穀物や野菜など日本の伝統食をベースとした「マクロビオティック」が日本に逆輸入されたのは、2004年。ハリウッドスターやスーパーモデルがこぞって取り入れたことから、海外由来のイメージがありますが、マクロビはもともと日本発祥の食事法です。「実身美」の第1号店が大阪・阿倍野で開業したのは、それより2年も早い2002年の12月。玄米の良さも、まだまだ知られていない時代。まさに時代を先駆けて、のスタートでした。
ホテルに勤務していた同年代のシェフを料理長に迎え、最初は二人でお店を切り盛り。大塚は食に関しては素人でしたから、業務用の食材に頼らず、家庭で調理するのと同じように、大根や人参の土を落として皮を剥き、湯がくところから始めたそうです。実際、それがおうちの味だし、「料理はこうあらねば」という縛りもない。季節や気分によって身体が欲する食べたいものを自由に作る。そうした素人ならではの感覚と発想が良かったのだと、聞いています。既製品を使わないから身体に悪いものはそもそも入らない。イタリアンやフレンチのようにお洒落じゃないけれど、お母さんが家族のために作るような、滋味深く、安心して毎日食べ続けたくなる身体に優しいごはんです。
―社名に込められたメッセージとは?
清水:「実身美」の名前は、「み」と読む漢字3つです。一つめの「実」は、中身が充実していることを表し、提供する食はもちろん、そこで働く私たちも「実のある仕事」を心がけています。二つめの「身」は、「身体に良いものを」との想い。そして三つめの「美」は、「身体に良いのはもちろん、見た目もセンス良く、美味しくなくては」という信念です。世の中には、栄養があって身体に良いものは数多くありますが、残念ながら味が良くないものも実は多いのです。「頑張りたい人応援する、誰もが寛げて癒される家のようなお店に」という大塚の想いは、約20年を経た今も、まったく変わりません。
「実」があって美味しい、商品のこだわり
―今回、レトルトカレーとファイトケミカルスープのパッケージを刷新されたのは?
篠原:レトルトカレーは、コラーゲンを含む鶏軟骨を形がなくなるまでじっくりと煮込み、化学調味料・着色料、香料不使用の自家製ルーに野菜とりんごを加えた、お店でも人気の高いメニューです。新型コロナウイルスの影響でお客様が来店できなくなり、ネット注文される方が増えました。それまでは要冷蔵で賞味期限も短かく、扱いにくかったのですが、レトルトパウチにすることで常温流通が可能に。賞味期限を大幅に延ばすことができました。
ファイトケミカルスープは、かぼちゃ、玉ねぎ、キャベツ、ニンジンなど、野菜の抗酸化物質を重ね煮することで味わいを引き出した調味料不使用のスープ。「野菜だけなのに、こんなに甘味があって美味しいんだ」と、野菜の力に感動していただける、身体想いの商品です。
清水:マクロビでは陰陽スープと呼ぶのですが、体のバランスを整えたり、悪いものを出すデトックススープです。レシピ自体は2005年くらいからあったのですが、身体に良いことはわかっていても、お客様の受けはあまり良くなかった。実際に体調を崩した人には喜ばれるのですが、元気な方は、敢えてそのスープを選ばない。商品としては少し尖りすぎていました。店舗ではお出ししていましたが、本格的に通販として商品化を決めたのは、昨年、新型コロナウイルスのせいでオンライン販売がメインになった時です。家での生活が続き、閉塞感の中、お客様はより健康にコミットするようになりました。「体に良いものでないと食べたくない。もっと健康でありたい」という意識が高まり、満を辞しての商品化でした。
「実身美」では、若さと健康のカギといわれる酵素にも注目してきました。旬の生野菜をすりおろした無添加の酵素ドレッシングも主力商品の一つです。内容量の60%以上が生の有機玉ねぎ。市販のドレッシングは、8割方が醤油やお酢、油などの調味料ばかりです。玉ねぎドレッシングと打ち出していても、炒め玉ねぎを入れている場合が多いです。私たちはあくまで「非加熱製法」にこだわりました。もちろん、化学調味料、保存料等、一切無添加。けれど、この“非加熱のまま製品化する”ということが、本当に大変で。食品衛生法の審査基準の壁にぶち当たり、保健所も最初は取りつく島もありません。何度も足を運び、定期的な菌数検査の徹底を図り、ようやくボトリングしての出荷が可能になりました。要冷蔵で6ヶ月の賞味期限を成し遂げたときは、我ながら本当によくやったと(笑)。
これからの「実身美」がめざすもの。
―今後のビジョンをお聞かせください。
篠原:開発としては、今後も添加物を使用せず、安心して栄養が摂れる商品を数多く作っていきたいと考えています。必要とされる方が心から喜んでくださる商品を提案していきたいです。また、お店はもちろん大切ですが、どうしても周辺の人がターゲットとなってしまいますので、日本全国どこへでもお届けできるよう、通販市場も大きくしていきたい。
清水:この仕事に携わりながら、健康への認識など、時代が変わってきていると実感します。「実身美」は、飲食業であり、お客様の健康を管理したいと考えている健康管理産業でもあると、改めて考えています。実際、お客様からもここで働くスタッフからも、「体調がいい」「アトピーが改善した」「健康診断の結果が良くなった」「体重が減った」などの声をたくさんいただきます。こうした意見を生かしながら、時代に合うエビデンスをまとめていければ良いなと。時間はかかるけれど、私たちにしかできないことだと考えています。そして、確かなエビデンスのもと、次の商品につなげていきたいと思っています。
―ご自身が、健康のために心掛けていることがあれば。
清水:8歳と2歳、そしてこれから生まれる子と主人の健康を考えて、調味料にはかなり気をつけています。すべて、とはいきませんが、可能な限り身体に良いものを使っています。
篠原:入社してから、身体をつくるタンパク質の大切さを知り、卵や豆乳、豆腐などを積極的に摂るようにしています。タンパク質が足りないと消化酵素が足りず、消化・吸収もうまくできないんですよ。
「大塚自身、昔から健康オタクで、高校時代、友だちが『セブンティーン』を読んでいる時、中高年が読む健康雑誌『壮快』を読んでいたそうです(笑)。お母様が健康意識の高い方だったそうで、親元を離れるや体調を崩して、食べ物の大切さを痛感したそう」と、微笑む清水さん。
テレビやインターネットを見れば、健康情報が大量に溢れている現代。体質や遺伝、アレルギー、ストレスの有無、仕事の形態などによって、必要なことは一人ひとり異なるはず。情報に惑わされず、まずは自分の心身の状態を知り、いたわることの大切さを実感しました。その手助けをしてくれるのが、「実身美」のごはん。多くの方の、健康な明日につなげるために。私たちも、より優れたパッケージのご提案でお役に立てればと、思います。
話者プロフィール
清水 雪薫
Shimizu Yuka卒業後、他社で勤務するも、アトピー体質のせいもあり体調を崩す。大学の先輩であった大塚氏の勧めで2005年入社。酵素ドレッシングの開発に携わる。2013年より専務に。篠原 由美
Shinohara Yumi製造部責任者。2016年入社。衛生面の管理、新商品開発、エビデンス構築、勉強会開催等に従事。栄養を壊さず、化学調味不使用でいかに美味しくするかを日々研究中。
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